【DTM】効率のいい作曲の時間帯とは?【脳科学的に解説】

【DTM】効率のいい作曲の時間帯とは?【脳科学的に解説】

こんにちは。Ariji(@Ariji51180601)です。

突然ですが、

作曲するのに適した時間帯がある事をご存知でしょうか?

そう聞くと、「いつでもいいんじゃないの?」 「人による」 「とにかく考えるしかない!」 「そもそも、良いフレーズが降りてくるのを待つしかないよ…」
とか、「普段仕事をしていてまともに時間取れるのが夜だけ」 「仕事中に考える!」
なんて人もいるかもしれません。

実際に僕も曲を作る時間帯を考える事もなかったし、仕事をしているので必然的に夜中になる事がほとんどでした。
「もっと曲を作りたいけど、夜遅いし明日の仕事にひびくからもう終わりにしよう...」
そんな事を思いながら、大して進んでいない曲を途中で終わりにすることが苦痛で仕方なかったです。

ただ、忙しいからこそ効率的に作曲できるようになりたい!

そう思っている人は僕だけではないと思います。


今回は、脳科学的な観点から作曲に適した時間帯はいつなのか?
また、効率的な作曲方法をご紹介したいと思います。

*以下の記事はDTMでの作曲以外で、仕事やプライベートでも使える知識となっております。音楽的なことが分からない人でも十分に活用できるテクニックをご紹介しています。
なのでDTM的なことや作曲などのワードを、自分の趣味や仕事に置き換えて読んでもらうと分かりやすいと思います。

結論から言って、『作曲』は夜やるべき

詳しく説明する前に、

結果的に夜で良いんじゃん!

そう思った方も多いはず。
すみません。結果的になのでどうしようもないです。笑

ただ、DTMで “音楽を作る” と言っても、いろんな作業が存在します。
メロディを考える作業や曲の構成、雰囲気作りのためにどの音色をどう作るか、プラグインやオートメーションの使用、MIXやマスタリング。
一人で全部する訳ですから、やるべき事が必然的に多くなります。

その様々な作業全てがクリエイティブな作業ではないはずです。

また、DTMでの作業全てを夜にすることが効率的ではありません。

実は『夜』が一番創造性が豊かになる時間と言えるのです。

脳科学的にクリエイティブな時間は『夜』

ここから詳しく説明していきます。

先ほども言いましたが、DTMでの作業で一番クリエイティブな部分が夜に適していると言えます。
例えば以下のような部分。

  • 曲のコンセプトを決める

  • 曲のメロディーを考える

  • ベースラインを考える

  • リズムを考える

  • 打ち込んでみる、または楽器でや歌を録音してみる

  • 試行錯誤を繰り返し、モックアップ(試作)を作る

  • イメージに近づけるため、モックアップを元に色付けしていく。

上記は作曲に関してだけですが、作業自体を細分化して書き出す事で分かりやすく、視覚的に整理することができます。
更に、カテゴリー分けをすれば見やすくなります。
頭の中にあるものを視覚化することは効率化の第一歩だと言えます。
面倒に感じますが、大変なのは最初に書き出す作業だけ。
作業自体の処理速度が向上するので是非お試しください。

簡単に書きましたが、いわゆる作曲作業のほとんどがクリエイティブ(創造的)と言えます。
当たり前ですが...笑

上記以外でも、DTMでは一般的に、MIXやマスタリングなど、曲を整えて完成させる作業もあります。
ですが、それらはクリエイティブというよりは、技術的な要素が強いように感じます。

「MIXもクリエイティブだ!」という人ももちろんいますが、今回の記事ではあえて外してあります。
理由は後ほど説明します。

夜と書きましたが、詳しくは 午後から夜 です。
ではなぜ午後もしくは夜が脳科学的にクリエイティブな時間と言えるのでしょうか?

午後になると、脳内ではアセチルコリンという物質が多く分泌されるようになります。このアセチルコリンという脳内物質は一般的に、『神経伝達物質』として知られており、脳内に分泌されると以下のような特徴が現れます。

  • 認知機能(思考・記憶・学習・注意力・集中力など)の上昇
  • 覚醒・・・側坐核への刺激により自己興奮(やる気向上)
  • 睡眠・・・脳や身体の休息を促進
  • シータ波の発生・・・記憶力、発想力(ひらめき)向上

ここで重要なのが、


クリエイティブな作業を進める上で必要な発想力、
すなわち『ひらめき 』を得るためにアセチルコリンが作用しているということ。

そしてこのアセチルコリンは

午後から夜にかけて徐々に分泌される

ということが分かりました。

シータ波を発生させ創造力(ひらめき 力)を上げよう

注目したいのは、アセチルコリンの働きでシータ波が発生し発想力、いわゆる ひらめき が生まれやすくなること。

DTMをやっていて時間がかかる作業の多くは、考えるという作業だと思います。
DTMでの作曲意外で、例えば仕事やプライベートでも考える時間というのは1日の中でかなりの消費量だと思います。

その考えるという作業の中で、クリエイティブな部分に使う時間がまるで滝のように流れていく経験をした人は多いと思います。
時間には限りがあります。本当に必要な部分に使うことで、自分の成長にもプラスにできるため、できるだけ無駄にせずに短縮させていきたいものです。

僕もそうでしたが、良いメロディは突然降ってくるものだと思っていました。

今思えばですが、仕事中いきなりパンチのあるメロディが降ってくることがありましたが、よくよく考えると午後の時間帯が多かったです。シータ波が発生していたんだなぁと、今では思います。笑

ではこのシータ波とは一体なんなのか?

ざっくり説明すると、『アルファ波』みたいなもの です。

ざっくり過ぎました。

もちろん、リラックス状態の代名詞としてのアルファ波とは少し性質が違います。
『シータ波』は眠い時や深い瞑想状態に発生しやすいと言われています。

ランチを食べて少し眠くなっている状態や、夜寝る前などはアセチルコリンが分泌されシータ波が出やすくなります。

シータ波は、学習や記憶と関係が深いシナプスのつながりを強くしてくれ、その記憶と記憶のつながりが『奇抜なアイデアやひらめき』を生み出します。

なのでシータ波が出やすい夜の遅い時間帯は、作曲で必要なアイデアを出しやすく、かっこいい曲の展開をひらめいたりと、クリエイティブな作業を効率的に進める上で重要だと言えます。

これだけでもアセチルコリンが分泌された時の作用は破壊的だと言えます。
実際に僕も、何回か休日の朝早くに起きて曲を作ったことがありますが、結局納得のいくものには仕上がりませんでした。
これは朝の脳がアイデア出しには向いていないことの証明になったと感じています。

ではこのアセチルコリンって一体なんなんでしょう?
「もっといろんなポテンシャルを秘めてるんじゃないの?」ってところを解説していきたいと思います。

集中力、やる気、ひらめきを向上させる
アセチルコリンとは?

アセチルコリンという脳内物質自体あまり馴染みのない言葉ですが、僕たちの体には無くてはならない重要な働きをしてくれています。

主な働きをまとめると

交感神経を抑制し、副交感神経を興奮させる

自律神経に作用します。
交感神経は日中、優位に活動し緊張や興奮を与え、
副交感神経は夜に活動し、リラックスした状態にしてくれます。
交感神経を抑制し、副交感神経を興奮させることは睡眠に深く関係していると言えます。
アセチルコリンが分泌されることで、睡眠のサイクルが回るようになります。

運動神経の伝達物質

運動神経に作用すると、 "筋収縮"  "心拍緩徐(心拍数低下)" "末梢血管拡張" "血圧下降(血圧を下げる)" "気管収縮" "胃液分泌亢進" "瞳孔縮小"など運動神経に作用します。
先ほど「リラックスした状態にする」と書きましたが、心拍数低下や血圧を下げるなども身体的にリラックスした状態にしてくれます。

このアセチルコリンが午後から夜にかけて多く分泌されるのは、徐々に体を睡眠に導入させる働きがあるからだと言えます。

大脳皮質、大脳辺緑系、視床などに分泌

先ほども述べましたが、脳内でアセチルコリンが分泌されると、
「認知機能」特に思考・記憶・学習・注意力・集中力に作用し、
覚醒と睡眠、シータ波の発生、情動記憶(感情をともなった記憶)にも影響を及ぼすことが知られています。
覚醒では脳にある「側坐核」という部位が活性化することでアセチルコリが分泌され『やる気』がUPします。

こうして見ると、緊張を緩和したり睡眠にも深く関係し、脳内だけでなく体の至る所でアセチルコリンが働いていることが良くわかると思います。

ただ、睡眠の誘導やリラックスさせたり、逆に認知機能を向上させ覚醒させたりと全く逆な性質を持っているように感じられますが、アセチルコリンは『神経伝達物質』なので身体中の特定の神経に作用します。
そのため、作用する相手によって様々な効果が現れるのです。

特に『認知機能』が向上する部分は注目です。
DTMでは高い「集中力」が必要です。
何度も同じフレーズを繰り返し聴き直し、なんかおかしい部分を「注意深く」探っていったり、自分が憧れるアーティストの曲を聴いて「学習」したりと、結構地味な作業が多いです。
アセチルコリンが『認知機能』を高めてくれれば作業を早く処理することが期待できます。

次は、

「夜がクリエイティブな作業に向いていることは分かったけど、
朝はどうなの?」

ってところを解説していきます。

効率よく作曲するには時間帯で作業内容を変える

効率よく作曲するには時間帯で作業内容を変える

朝と夜とでは脳の働きが違っているため、その事を理解すれば作曲作業をもっと効率的にできるのでは?
という部分を詳しく説明していきます。

MIXやマスタリングなどは午前中に行うのが最も効率的

一般的にも認知度が高いと思いますが、朝起きてから2〜3時間は脳が最も活動的になる時間帯です。

さらに朝は、前日の記憶が整理され脳内はリセットされます。
脳が活動的になり、記憶がリセットされる言うことは、客観的に物事が見れる状態とも言えます。

MIXは『曲のバランスを整える』ことが目的です。
なので、曲の全体感を捉えて各々の音たちを狙った『場所』で鳴らしたり、目立たせたり引っ込ませたり、馴染ませたりして聴いてくれる人が聴き入りやすいように仕上げていきます。

なので客観的に曲を聴くことはMIXをする上で最も重要になってきます。

朝、記憶が整理され脳内メモリがリセットされた状態を使い、曲を客観的に聴くことでイメージとは違う方向にMIXしてしまう現象を避けることができます。

MIX中に「なんか薄っぺらいな」と感じ、中低音をいじり始め改めて聴き直すと、もっさりした仕上がりになっていた...
なんてこともしょっ中ありました。

なので僕は「MIX」「マスタリング」を行う場合は必ず次の日か、もしくは後日しかも朝に行うようにしています。

それは余計な先入観がなくなり、MIXの方向性もブレることが少なくなったからです。

また、朝に向いている作業は『整合性』『論理性』そして『集中力が必要な高度な作業』が向いています。

例えば、

  • 英語の勉強などの言語活動
  • 複雑な計算
  • 論理的で冷静さを必要とする重要な決断
  • 全体を見通すような仕事(目標設定、計画立案など)

など、どれも僕が苦手なものばかりです。笑
恐らく一般的にも上記のような作業は大変だという認識が強いのではないでしょうか?

逆を言えば大変な作業ほど、脳が活発な朝にする方が効率的

と言えます。

『MIX』『マスタリング』などの技術職が強い作業は、全体感を持って曲と向き合い、感覚だけではなく論理的な判断もしていかなければ時間が過ぎる一方だと感じます。

要は、自分のイメージだけに捉われず、時には一般的なセオリーも取り入れことと、
泥沼化させず、ある程度のところでバッサリと切る判断をすることで効率的な作業ができるようになります。

午後に完成した曲を聴いて分析する

午後はアセチルコリンが分泌されクリエイティブな時間に突入します。
そこで午前中にMIX、マスタリングで完成させた曲を聴いてみます。

論理的な思考で仕上げた曲を、創造性豊かな脳で聴くことで違った
『耳』で感じることができるからです。

クリエイティブな『耳』で聴くことは、聴き手がどう感じるかを想像するためであって、自分だけが気持ち良くなるためのものではありません。

誤解を招くかもしれませんが、DTMをやっている人で完全に自分だけが満足するための曲を作っている人は少ないのではないでしょうか?

今はそういう人もいるかもしれませんが、いずれは周りの友達や家族に「聴かせたい!」という欲求に駆られる時がくると僕は思います。

聴き手がいるという時点で、『自分の欲求を満たす曲』ではなくなっているので、聴き手のための曲作りを意識するべきだと感じます。

これは脳科学的にも『自分のため』よりも『他人のため』の方が圧倒的に成長することが分かっているので、曲を公開して『いろんな人に聴いてもらえる曲作り』を意識すれば上達が早いということになります。

話が脱線しました...笑

「午後に曲を聴いてどうすれば良いの?」という疑問が残りますが、単純に分析すれば良いと思います。

これはやっている人も多いと思いますが、
「今回は音圧が足りなかった」
「この部分にもっと広がりが欲しかった」
「特徴的な音にしたい」
など、聴いてみていろんな事を思いますよね?

それを次の曲に生かすため、次回どうするかを考えることが重要です。

納得がいかなければ、手直しをしても良いと思います。

ちなみに僕はあえて手直しをしません。ただ手を抜かずに全力で曲は作るので、その結果として次回の改善点につなげていきます。

全力で曲を完成させた達成感を味わいたいからです。

脳は達成感というご褒美に弱いので、チマチマ手直しをしてご褒美がもらえないよりも、未完成でも終わりにした方が楽しくなります。

何より楽しくなれば、続けやすく上達もしやすくなります。

なので作った曲をクリエイティブな耳で聴き、分析して次の課題にすることが大切になってきます。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回の記事を簡単にまとめると、

  • 作曲は『夜』にするのがオススメ! アセチルコリンの作用で「ひらめき 」が生まれ、認知機能も向上するので効率的。
  • MIX、マスタリングは『午前中』に! 論理的で客観的な作業に向いているので良質な作業ができる。
  • 完成した曲は『午後』聴く。 クリエイティブな耳で聴き、曲の分析をしよう!

こんな感じになると思います。

今回の記事は、精神科医で作家の樺沢 紫苑先生の著書

脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法

を参考にさせてもらいました。

仕事術的な本ですが、曲作りにも使える知識として僕なりに噛み砕き最適化した記事に仕上げています。

皆さんの曲作りの参考になれば嬉しいです。

ではまた!